
2026年8月11日、ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMC(台湾積体電路製造)が、それぞれ公式プレスリリースを発表しました。
熊本県合志市のイメージセンサー工場を拡張する合弁事業(JV)について、正式な契約締結が発表されたのです。
ソニーが約4,650億円、TSMCが約2,820億円を出資。
合計、約7,470億円。
量産開始は2029年を目標とし、まずは高性能イメージセンサーの供給拡大が狙われています。その先には、自動運転、産業用ロボット、AI画像認識など、さらなる用途も見込まれています。
これだけの投資額なら、ニュースになるのも当然です。
工場、クリーンルーム、製造装置、シリコン。
目に見えるものばかりです。
しかし、その工場を設計し、シミュレーションし、検証し、運用していくためのもう一つの重要な資産があります。
それが、エンジニアリングソフトウェアです。
見えにくい「もう一つの設備投資」
半導体工場の建設・拡張には、さまざまな設計・解析・シミュレーション環境が必要になります。
EDAツール。
プロセスシミュレーション。
施設・設備設計。
そして、それらを支えるさまざまなエンジニアリングソフトウェア。こうしたソフトウェアは、工場の建物のように目に見える資産ではありません。
しかし、ライセンス費用は決して小さくありません。
さらに難しいのが、**「購入したライセンスが、本当に必要な数なのか」**という問題です。
たとえば、50ライセンスを契約しているとします。ある時間帯には45人が利用している。別の時間帯には15人しか使っていない。
では、本当に50ライセンス必要なのでしょうか?
逆に、ピーク時にライセンスが足りず、エンジニアが作業を待っているとしたら?
契約数だけを見ていては、その答えはわかりません。必要なのは、実際の利用状況を測ることです。
「ライセンスが足りない」のか、「使い方が見えていない」のか
大規模な製造・エンジニアリング環境では、複数のチームが同じライセンスプールを共有することがあります。
ここで、よくある問題が起こります。あるエンジニアがソフトウェアを起動したまま、実際には作業をしていない。
その間、別のエンジニアが同じライセンスを必要としている。しかしシステム上では、そのライセンスは「使用中」です。
結果として、
「ライセンスが足りない」
という判断になります。でも、本当の問題はライセンス数ではなく、
「ライセンスがどう使われているのか、見えていないこと」かもしれません。
ここでライセンス管理が重要になる
OpenLMのようなライセンス管理プラットフォームは、こうした状況をデータで可視化します。
誰が、何を、どれだけ使っているのか
ユーザー、端末、ライセンス、機能などの利用状況を把握できます。
「37席が使用中」という数字だけではありません。
誰が、いつ、どのライセンスを、どのくらい利用しているのか。
そこまで見ることで、実際の需要が見えてきます。
使われていないライセンスを回収する
アイドル状態のセッションを検出し、ライセンスを回収することで、限られたライセンスをより効率的に利用できます。
特にFlexLM/FlexNetなどのネットワークライセンス環境では、こうした最適化が重要になります。
「なぜ使えなかったのか」を追跡する
ライセンスが拒否された。
では、なぜ?
ピーク時間だったのか。
特定の機能が不足していたのか。
特定のライセンスプールに集中していたのか。
利用履歴を見ることで、「ライセンスが足りない」という結果だけではなく、その原因を分析できます。
ソフトウェアコストを、実際の利用と結びつける
さらに、利用状況を部門やプロジェクト、コストセンターなどと関連付けることで、
「このソフトウェア費用は、実際にどこで使われているのか」
という財務面の問いにも答えやすくなります。
これは「コスト削減」の話だけではない
ここが重要です。
ライセンス管理は、単純に「ライセンスを減らしましょう」という話ではありません。
必要なライセンスは確保する。
不要なライセンスは増やさない。
そして、必要な人が必要なときに使えるようにする。
そのために、実際の利用データを使います。
OpenLMの導入事例では、Baker Hughesがライセンス利用を最適化し、ピーク時の必要シート数を90〜100席削減。約270万ドルの新規ライセンス購入を回避した事例もあります。
7,470億円の投資を、どう使い切るか
もちろん、合志の新しい工場で具体的に何席のライセンスが必要になるのかは、現時点ではわかりません。
しかし、2029年に向けて組織や設備、設計環境が拡大していくなら、
「何を買ったか」だけでなく、「実際にどう使われているか」
を見ることは、ますます重要になります。
工場の建設費は、ニュースになります。設備投資も、数字になります。
しかし、その工場を動かすエンジニアリングソフトウェアの利用状況は、ほとんどニュースにはなりません。
それでも、そこには毎年発生する大きなコストがあります。だからこそ、問い直す価値があります。
7,470億円の工場を建てる。
では、その工場を設計し、動かすためのソフトウェアは、本当に必要なだけ使われているでしょうか?
大きな投資ほど、目に見える部分だけでなく、その裏側で毎日使われている「見えない資産」まで管理すること。
それが、投資を無駄なく活かすための一つの鍵になるのかもしれません。