
長年にわたり、ソフトウェア資産管理(SAM)はIT部門中心の「ライセンス管理業務」として扱われてきました。
主な目的は、ライセンス数の把握、監査対応、契約更新、コンプライアンス維持でした。
しかし、その従来型モデルは現在の企業環境では十分に機能しなくなっています。
2026年現在、Autodesk、Bentley、ANSYS、Adobeなどのエンジニアリングソフトウェアは、多くの中〜大規模企業において数千万円〜数億円規模の予算を占めています。さらに、SaaS利用の拡大、ハイブリッドワークの普及、クラウド化の加速により、ソフトウェア利用状況はますます複雑化しています。
その結果、
- 実際には使われていないライセンスへの支出
- 利用状況の可視化不足
- 更新時の過剰購入
- 部門別コスト把握の困難化
といった問題が企業全体で増えています。
この課題を解決する考え方として注目されているのが「FinOps」です。
FinOpsとは何か?SAMとの関係
FinOpsとは?
FinOps(Financial Operations)は、もともとクラウドコスト最適化のために生まれた運用フレームワークです。
簡単に言えば、
「IT・財務・ビジネス部門が連携し、テクノロジー投資を継続的に最適化する考え方」
です。
FinOpsでは主に以下の3つを重視します。
- 可視化(Inform)
- 最適化(Optimize)
- 継続運用(Operate)
従来のSAMは、
- ライセンス数は足りているか?
- コンプライアンス違反はないか?
- 監査に対応できるか?
という「守り」の管理が中心でした。
一方、FinOps型SAMでは、さらに踏み込んで、
- 本当に価値を生んでいるライセンスか?
- 未使用ライセンスを回収できないか?
- どの部門がどれだけコストを使っているか?
- 次回更新時に最適な数量はいくつか?
という「経営視点」でソフトウェア利用を管理します。
つまり、
「コンプライアンス中心」から「投資価値中心」への進化
これが、2026年にFinOpsがSAMの新標準と言われる理由です。
なぜ2026年が転換点なのか
2026年は、FinOps型SAMが「推奨」ではなく「必須」になり始めた年と言えます。
主な理由は以下です。
① エンジニアリングソフトウェア費用の急増
AutodeskやBentleyなど多くのベンダーが、
- サブスクリプション型
- Token制
- Consumption型
へ移行しています。
つまり、利用量がそのままコストに直結する時代になっています。
② ハイブリッドワークによる利用状況の複雑化
現在では、
- オフィス
- 自宅
- 海外拠点
- プロジェクト単位
など、利用場所や利用者が分散しています。
そのため、多くの企業で
「不足を恐れて余分に購入する」
傾向が強まり、結果として大量の未使用ライセンスが発生しています。
③ CFOが“利用実績データ”を求め始めた
現在の財務部門は、
「なぜこのライセンス更新が必要なのか?」
をデータで説明することをIT部門に求めています。
利用率データなしでは、予算承認が難しくなっています。
④ AI活用時代では“正確な利用データ”が重要
AIによる予測や最適化を行うには、正確な利用データが必要です。
誤ったデータでは、
- 更新予測
- コスト分析
- 最適化提案
すべてが不正確になります。
そのため、FinOps型SAM(ソフトア資産管理)の重要性が急速に高まっています。
