
もし、半導体の設計にかかる時間を「半分」にできたら——。
次世代チップの開発競争は、単に「誰が最先端の技術を持っているか」だけでは決まりません。誰が、より速く設計し、検証し、量産へつなげられるか。
その「開発スピード」が、これまで以上に重要になっています。
そんな中、注目されるのが、RapidusとCadence Design Systemsの協業です。
北海道・千歳で最先端ロジック半導体の量産を目指すRapidusは、CadenceのAIエージェント技術「InnoStack AI Super Agent」を、独自の設計基盤「Raads」に統合。新たに「Raads Navigator」「Raads Indicator」を展開し、次世代2nm半導体の設計期間を最大2倍高速化することを目指しています。
これは、単なるEDAツールの導入ではありません。
AIが設計工程の一部を支援するだけでなく、より複雑な設計判断や最適化にも関わるようになれば、半導体設計そのものの進め方が変わっていく可能性があります。
「2倍速」になったとき、何が起こるのか?
ここで、一つ考えておきたいことがあります。
設計スピードが2倍になれば、すべてのリソースがそのまま2倍で済むのでしょうか。
必ずしもそうとは限りません。
AIを活用した設計では、より多くのジョブが並列で実行されたり、設計・検証のサイクルが短時間で繰り返されたりする可能性があります。
つまり、設計が速くなるほど、EDA環境へのアクセスも増える。
CadenceをはじめとするEDAツールは、高額なライセンスを必要とするケースも少なくありません。
「ライセンスが足りないから設計が止まる」
「必要以上にライセンスを購入している」
「特定のプロジェクトやチームがライセンスを集中して使っている」
——こうした問題は、AIによって設計プロセスが高速化するほど、より見えにくく、そして重要になっていく可能性があります。
速さを追うなら、「何が使われているか」も見なければならない
AIによる半導体設計の進化は、これからさらに加速していくでしょう。
だからこそ企業に求められるのは、単純に「より多くのライセンスを買う」ことではありません。
現在、どのライセンスが、誰によって、どのプロジェクトで、どれだけ使われているのか。
まず、この実態を正確に把握することが重要です。
OpenLMは、Cadenceを含む95以上のライセンスマネージャーに対応し、エンジニアリング環境におけるライセンス利用状況を可視化します。
どのライセンスが使われているのか。
どの時間帯に需要が集中するのか。
どのチーム・プロジェクトが多く消費しているのか。
そして、購入したライセンスが本当に有効活用されているのか。
こうしたデータを把握することで、ライセンス不足による設計の停滞や、不要なライセンスコストを見直すための判断材料を得ることができます。
「速く作る」だけではなく、「無駄なく作る」へ
2nm世代の半導体開発では、設計そのものがますます複雑になり、AIの活用もさらに進んでいくでしょう。
そこで重要になるのは、スピードとコスト、そしてリソースの最適化を同時に実現することです。
RapidusとCadenceが目指す「2倍速」の世界。
そのスピードを最大限に活かすためには、設計環境の中で何が起きているのかを正しく把握することも欠かせません。
AIで設計を速くする。
そして、ライセンスの利用もスマートにする。
次世代半導体の競争では、この両方が企業の競争力を左右するのかもしれません。