ライセンス管理のバランス:クラウド障害後に考えるべきこと

急にスマート家電が動かなくなったり、オンライン決済が止まったり、大事なアプリが固まったり――
あの「ヒヤッとする感覚」を覚えている方も多いと思います。2025年のAWS大規模障害は、ただの技術トラブルではありませんでした。大手クラウドでも止まることがある」という現実を世界中に示した出来事です(2021年12月にもAWSで大きな障害がありました。)

ここから、企業が考えるべき大きな問題があります:

SaaS(クラウド)ライセンスは柔軟だが、コントロールが少ない
永久ライセンス(オンプレ)はコントロールできるが、柔軟性が少ない

強く、安定したシステム作りのためには、このバランスがとても重要です。

目次

  1. SaaS:柔軟だが、クラウド依存のリスク
  2. 永久ライセンス:安定だが、コストと手間が増える
  3. ハイブリッドが最も安全な理由
  1. SaaS:柔軟だが、クラウド依存のリスク

SaaS(クラウドサービス)は、

  • すぐに利用開始できる
  • 世界中からアクセス可能
  • コスト管理もしやすい

など、多くのメリットがあります。

しかし大きな弱点があります。

クラウドが止まると、あなたも止まる。

AWS、Google、Microsoft どこかに問題が起きると、
あなたのアプリは即座に使えなくなってしまいます。

2025年のAWS障害でも、DNSの問題で多くのアプリがアクセス不能になりました。
また別の例として、地政学的な理由で Microsoft が
ある大手石油会社のクラウドライセンスを停止したケースもあります。

つまり、

お金を払っていても、ベンダー側に問題があると使えない。

これが SaaS 最大のリスクで、
**「ベンダーの可用性に100%依存する」**ということです。

  1. 永久ライセンス(オンプレ):コントロールは高いが、コストと手間が必要

永久ライセンス(オンプレミス)は SaaS と対照的です。

  • 自社サーバーにインストール
  • ライセンスを永久使用できる
  • 自社ネットワークで動くためクラウド障害の影響が小さい

インターネットが落ちても、クラウドリージョンが不調でも、
ローカル環境で使い続けることができます。

ただし、その自由にはコストがあります。

  • 初期ハードウェア費用が高い
  • IT人員が必要
  • アップデートや管理が手動
  • スケール(拡張)が遅い

つまり、安定とコントロールはあるが、
お金と手間がかかるのがデメリットです。

  1. ハイブリッド戦略:両方の良いところを活かす

クラウドを避ける必要はありません。
大事なのは「用途に合わせて使い分ける」ことです。

クラウド障害は今後も必ず起こります。
どのクラウドベンダーも100%の稼働率は保証できません。

そこで重要なのがハイブリッドライセンシングです。

SaaS を使うべきケース

  • すぐに使いたいツール
  • 変更が多いシステム
  • 非重要(ノン・ミッションクリティカル)な業務
  • コラボレーション・開発ツール

オンプレ(永久)を使うべきケース

  • 一秒でも止められない重要システム
  • 常にアクセスが必要なデータ
  • ダウンタイムが大きな損失になる業務
  • 高度な機密情報

ハイブリッドのメリット

  • クラウドの便利さ
  • オンプレの安全性・コントロール
  • 全体としてリスクを下げられる

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