
はじめに
2000年代初頭、IT業界は大きな転換点を迎えました。それが サーバー仮想化 です。
当時は、「1つのアプリケーション=1台の大きな物理サーバー」という考え方が主流でした。
しかしこれは、
- 無駄が多い
- 柔軟性がない
- 管理が難しいという問題を抱えていました。そこで登場したのが仮想化です。1台の大きな物理サーバーを、複数の 仮想マシン(VM) に分割し、用途や担当ごとに自由に割り当てられるようになりました。
今、同じ問題が「ライセンス管理」で起きている
現在の ソフトウェア資産管理(SAM) は、まさに「仮想化前のハードウェア時代」と同じ課題を抱えています。
特に 指名ユーザー(Named User)ライセンス です。
多くの企業では、
- Adobe Creative Cloud:1,000ライセンス
- Microsoft 365:1,000ユーザー
- Autodesk:数百〜数千ライセンス
といった 巨大なライセンスプール を保有しています。
ベンダーから見ると、これは「1,000個のメールアドレスの一覧」にすぎません。
しかし、IT管理者にとっては管理不能に近い巨大な塊 です。

ライセンスにも「仮想化」の考え方を
そこで必要なのが、ライセンスを仮想化する という考え方です。
OpenLM Virtual License Manager(VLM)の役割
VLMは、
- ベンダーの管理ポータル
- 実際のエンドユーザー
の 間に立つ仕組み です。
巨大な1つのライセンスプールを、組織構造に合わせて、論理的に分割(仮想化) します。
コンセプト:原子を分けるように
750人、1,000人分のライセンスを1つの塊で管理するのは現実的ではありません。
VLMでは、次のように分割できます。
- 仮想プールA(プロジェクト「Falcon」):50ライセンス
→ プロジェクトマネージャーに委任 - 仮想プールB(シミュレーション部門):200ライセンス
→ 技術部門リーダーに委任 - 仮想プールC(UK拠点):150ライセンス
→ 現地IT担当に委任 - 仮想プールD(インターン):20ライセンス
→ 教育担当に委任これは単なる「レポート表示」ではありません。
実際に操作・管理できる単位として分離 されます。
この仕組みが、2つの大きな問題を解決します。
①:割り当て問題(チケット地獄)
従来の指名ユーザー管理では、次の流れが一般的です。
- 新入社員が入社
- ライセンスが必要
- 中央ITにチケットを発行
- ITがベンダーポータルにログイン
- 空きを探して割り当て
これを何百人・何千人分繰り返すと、IT部門は完全にボトルネック になります。
VLMによる解決
VLMでは、あらかじめ部門ごとにライセンス数を確保します。
例:「シミュレーション部門には200ライセンス」
すると、
- 部門側:すぐ使える(待ち時間ゼロ)
- IT側:日常的な割り当て作業から解放 ライセンスの交通渋滞 がなくなります。
②:委任のブレークスルー(信頼+安全)
多くの企業では、
「グローバルライセンス管理者」は中央ITです。
しかし問題があります。
- 実際に誰が使っているか分からない
- 休暇中で未使用のライセンスに気づけない
- プロジェクト終了後の回収が遅れる
- 本当に「高機能版」が必要な人が分からない
700人、1,000人を1人で正確に把握するのは不可能です。
VLMの「安全な委任」
VLMでは、
仮想プールごとにローカル管理者を設定 できます。
例:
プロジェクト「Falcon」のPMにこう伝えます。
「この50ライセンスはあなたの管理です。誰に割り当てるか、外すかは任せます。」

なぜ効果的か?
- 現場の判断:一番状況を知っている人が決定
- 安全性:他部門のライセンスには一切触れない
「見える範囲・触れる範囲」が限定されているため、全体を壊すリスクがありません。
実例:世界的な放送局
私たちは、世界的に有名な放送局 でこの仕組みを導入しました。
対象はAVID Media Composer の数千ライセンス です。
課題
- 世界20以上の地域(ロンドン、NY、APACなど)
- 実体は「2つの巨大なグローバルライセンスプール」
- ローカル管理者に自由を与えたい
- しかしベンダーポータルの管理権限は危険
実際、
- シンガポールの管理者が
- ロンドンの設定を誤って変更してしまう
という事故が起きていました。
解決策
OpenLM VLMで、
- 2つの巨大プールを
- 20の地域別仮想プールに分割
すると:
- ロンドン管理者 → ロンドンプールのみ表示
- シンガポール管理者 → シンガポールのみ
自由に管理できるが、他地域には一切影響しない
VLMが 安全装置(セーフティレイヤー) となりました。
まとめ:柔軟な未来へ
今や、仮想化なしでデータセンターを運用する企業はありません。
それと同じです。
1,000以上の指名ユーザーライセンスを、
- Excel
- 1つの管理アカウント で管理する時代は終わりました。
これからのライセンス管理
- 中央:全体の可視化・統制
- 現場:自律的な運用
- 構造:柔軟で安全
管理を委任し、可視性は集中させ、資産を仮想化する。
それが、これからのライセンス管理の標準です。
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